洗濯埋め込み水栓を壁ピタ水栓に交換できない理由
洗濯機の買い替えなどが原因で、洗濯蛇口の高さ上げが必要になる場合があります。このときに便利な道具が壁ピタ水栓ですが、洗濯埋め込み水栓と壁ピタ水栓は相性がよいとは言えません…。
すでにネットで、埋め込み水栓には壁ピタ水栓が取り付けられないという情報を得ている方もいるでしょう。それはいったいなぜでしょうか。
今回は、埋め込み水栓に壁ピタ水栓が取り付けられない理由を解説します。
埋め込み水栓に壁ピタ水栓は取り付けできない
最初に重要なことからですが、埋め込み水栓には壁ピタ水栓を取り付けることはできません。
今回の記事のテーマである取り付けできない理由を解説する前に、埋め込み水栓や壁ピタ水栓についてかんたんに解説します。
埋め込み水栓とは、洗濯置き場の壁に一体化するように埋め込まれた水栓のことで、SAN-EI(シンプレット)やTBC(フラット)が代表的です。
上の画像が埋め込み水栓です(一例です)。このようにパネルがあるのが特徴で、埋め込みパネル水栓と呼ばれることもあります。
壁ピタ水栓については、すでにこの記事を見ている方であればある程度はご存じでしょう。念のために説明をすると、洗濯水栓の高さを上げるのに特化したパーツです。
上の画像が壁ピタ水栓です。こちらは既存の洗濯蛇口に取り付けることで、壁ピタ水栓の長さの分だけ高さを上げることができます。
ただし、壁ピタ水栓は万能ではありません。壁ピタ水栓を使えば、どんな蛇口でも高さを上げることができるとは限らないのです。
冒頭でも記載したように、埋め込み水栓の場合は壁ピタ水栓に交換できません。つまり、埋め込み水栓を使用している家では、壁ピタ水栓を使用した蛇口の高さ上げをすることはできないのです。
蛇口の高さ上げに便利な壁ピタ水栓は、適合するものとそうでないものがあります。
洗濯蛇口が壁から10数センチメートル飛び出しているようなタイプであれば、壁ピタ水栓に交換することが可能です。いわゆる単水栓(※)や混合水栓なら、高さ上げができる可能性があります。
なお、ここでの「交換」とは、既存の洗濯水栓を取り外して、そこに壁ピタ水栓を取り付けるということです。
壁ピタ水栓を使った高さ上げには限度があるため、やはり万能とまで言うことは難しいでしょう。極端な例ですが、壁ピタ水栓を取り付けても50センチ高さを上げることはできません。事前にどの高さまで水栓を上げたいのか、高さの目標を設定して、壁ピタ水栓で対応ができるのか確認しておきましょう。
繰り返し、埋め込み水栓は壁ピタ水栓に交換できないと記載してきました。本題である交換できない理由は、仕様です。構造からして交換できないと表現したほうが適切かもしれません。身近な例を挙げるとすれば、タイプCで充電できるスマートフォンにマイクロUSB充電コードを挿そうとしても、接続はできません。これはそういう作りになっているという説明で納得していただけるでしょう。埋め込み水栓の場合も、構造の都合で壁ピタ水栓に交換することはできないのです。
(※参考:洗濯用単水栓)
壁の中の水道管を延長すれば高さを上げることが可能
さて、この記事では繰り返して埋め込み水栓に壁ピタ水栓を使用した高さ上げはできないと、記載しました。ではどうすれば埋め込み水栓でも高さ上げができるのか…と思う方も多いでしょう。結論から書くと、パイプの延長をすることで水栓の位置を上げることが可能です。
急にパイプという言葉がでてきたので、解説していきます。
洗濯機は水を使用するため、給水パイプを使用して水を引いているのはお分かりいただけるかと思います。しかしこのパイプはあまり目につきませんね。その理由は、パイプが壁の中にあるからです。埋め込み水栓の給水パイプは壁の中にあり、このパイプを上に延長することで水栓の高さを上げることができます。
壁の中にあるパイプを延長するということは、壁に穴を開ける必要があります。穴を開ける作業は一般的に開口(かいこう)作業、開口工事と呼び、必要最低限の穴を開けてパイプを上に延長し(パイプを継ぎ足す)、必要な高さになったらその位置に洗濯水栓を取り付けます。当社の場合は、開けた穴を、壁に近い色のパネルなどで閉じて、目立たないようにフォローしているのでお任せください。可能な限り自然な仕上がりになるよう努めています。壁に穴を開ける(切り開く)と知ると、二の足を踏む方も少なくはないでしょう。ご不安なことがあれば、当社まで相談してください。お客さまのご希望になるべく沿った対応をしています。
埋め込み水栓の高さ上げ工事例
さて、ここからは当社が実際におこなった埋め込み水栓の高さ上げ工事例を紹介します。
「洗濯機を買い替えるため、洗濯蛇口の高さを上げてほしい」という依頼の電話がありました。お客さまに聞いたところ、今回の洗濯水栓は埋め込み水栓です。「壁ピタ水栓は取り付けられないようだ」と電話でお客さまが話していました。お客さま自身で事前にネットでいろいろと調べたようでした。現地で確認しないからには、100%確実なことを言うことはできませんが、「壁ピタ水栓以外の高さ上げ方法はある」とお伝えして、工事訪問をしました。
事前の連絡の通り、洗濯水栓は埋め込みタイプでした。下の画像を見ても、壁に受け込まれるようなかたちで取り付けられていることがわかります。これが埋め込みタイプの特徴ですね。
お客さまによると、このままでは新しい洗濯機を置くとホースが接続しにくくなるため、高さを上げたいとのことです。(洗濯機は高さがバラバラです。最近のドラム式洗濯機は背の高いものが多く、買い替えることで既存の蛇口が低くて設置できないことがあります。)
繰り返してきたように、埋め込み水栓には壁ピタ水栓で高さ上げすることはできませんが、壁を開口してパイプを延長することで高さを上げることはできます。
お客さまに上記のことを説明して、壁の開口についての同意と、工事費用の見積もりにも承諾をもらいました。洗濯水栓の高さ上げの工事をしていきます。
埋め込み水栓を壁から取り外し、道具を使用して必要な部分のみ壁を開口します。
上の画像は、壁を開口している様子です。壁の中には給水パイプがあるので、必要な分だけ上に延長します。パイプを延長したら、目標にしていた位置に水栓を設置します。そして開口部にパネルを取り付けました。
上の画像は、開口部にパネルを取り付けた様子です。壁が白色だったため、白色パネルを取り付けました。
高さ上げ後は、埋め込みパネル水栓ではなく単水栓を取り付けています。高さが上がったことは、隣にあるコンセントの位置関係を見れば明らかでしょう。お客さまに洗濯蛇口の高さが上がったことを確認してもらい、買い替え予定の洗濯機が問題なく置けることも確かめてもらいました。
新しくなった洗濯水栓の使い方をかんたんに説明して工事は終了です。
ここでは、水のみが出る埋め込み水栓の高さ上げ事例を紹介しました。水と湯が出る埋め込み水栓も存在します。このようなタイプの埋め込み水栓の高さ上げもご相談ください。
【関連ページ】
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壁を開口して洗濯埋め込み水栓の高さ上げ工事
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